OJI Designでは日本各地の地域のデザインに力を注いでいます。その中で深く携わったものを紹介するこちらの特集、第一弾は栃木県宇都宮市のいちご農園「Farm大越」のブランドデザインです。

 

■昔ながらの栽培方法、新しいパッケージデザイン

栃木県はいちご収穫量全国1位の"いちご王国"。そこで50年以上いちご栽培を続けている農園のCI設計に携わりました。Farm大越では昔ながらの「日光いちご」の栽培を続けています。日光の高地・戦場ヶ原で苗を育て、宇都宮に苗を移動させ実を収穫する。自然の寒暖差を利用した伝統的な栽培方法です。また、植物本来の食味を追求し、土作りからこだわっている点もこの農園の特徴です。

これまでは地域の農園と共同で出荷組合としていちごを販売していましたが、今後法人化し新しい体制に変えていくというタイミングでブランドをリニューアルする運びとなりました。これまで続けてきた伝統やこだわりはそのままに、より多くの方にFarm大越のいちごのファンになってもらう事を目標にデザイン設計が始まりました。

 

 

■街のテクスチャー「大谷石」のパターン

まずは会社のCI設計です。ロゴタイプと合わせて会社のパターンを製作しました。栃木県は大谷石の採掘が盛んで、街を歩いていると大谷石で作られた塀や蔵があちこちに見られます。Farm大越でも大谷石の蔵を今でも倉庫として使用していると聞き、この地域を象徴する「街のテクスチャー」をデザイン要素として活用することを考えました。緑色の石のイメージを抽象化し、宝石のようにも見えるパターンに落とし込みました。このパターンは会社のシンボルとして手提げ袋の模様に採用しています。

 

 

■十枚の花弁に込めた思い

次にブランドのアイデンティティのデザインです。いちごのブランドの名前は「UNAN」(うなん)としています。これは会社の前身である「宇都宮南出荷組合」の呼び名の名残であり、長年この「宇南」という名前でいちごを販売してきました。リニューアルしたUNANのシンボルマークには10枚の花弁を持ついちごの花が描かれています。「いちごは花弁の数が多いほど大きな実(花托)をみのらせる」という事から、いちごの品質への責任や、より良いものを育てていくという意思をシンボルの10枚の花弁に込めました。そして、栃木から世界へいちごを届けていくことを目指し、日本を感じさせる家紋のような意匠にまとめています。

 

 

■「農産物」でなく「スイーツ」としてデザイン

パッケージは段ボールトレーとギフトボックスを作成しました。いちごを「農産物」としてでなく「スイーツ」と捉えデザインを行い、青果物の段ボールらしからぬ上品で繊細なグラフィックを施しています。ギフトボックスは収穫したものの中でも形・大きさを厳選したものが入ります。できるだけ実に触れぬようツルを持って丁寧に収穫したいちごを、お客様の手元に届くまでしっかりと運びとどけるため梱包材にもこだわりました。

 

 

■より多くの方にお届けするために

ブランドをより多くの方に知っていただくために、会社案内やリーフレット、webサイトのデザインも行いました。リーフレットではいちごが育っていく様子を写真により順を追って説明、農園のこだわりといちごができるまでのストーリーとをお客様に伝える内容になっています。購入したいちごがいかに丁寧に育てられてきたか想いを馳せる事で、より味わいが増すのではないでしょうか。いちごはオンラインショップでも販売予定ですので、ぜひwebサイトもご覧になってください。

http://farm-okoshi.com/

 

Oji Industrial Materials Management Co., Ltd.